研究理念(Philosophy)


    細胞は豆腐より柔らかいけどプリンより硬い――
    アメンボが水面を蹴っても脚に水がまとわりつくことはない――
     でも,なぜ? どうして?


     エネルギーは力や熱,光など多様な形を取りますが,中でも「ニュートン(N)」を用いて表現される「力」は皆さんにとって一番親しみ深いものではないでしょうか?
     例えば,生物は様々な形で力を発揮します.カブトムシを捕まえるとすごい力で暴れて手が引っ掻き傷だらけになります.魚を釣れば,竿が信じられない様な力で引っ張られます.雑草はアスファルトを押し上げ,突き破り力強く生い茂ります.私達はサッカーボールを遠くまで蹴り飛ばし,逆上がりもできます.
     加えて,私達が最初に客観的なエネルギーに関する表現方法として習い,認識する概念もまた「力」です.例えば,小学校の算数や理科で「重さ」や「バネの力」は習ったでしょう.また,運動会での綱引きや,繋いだ手を誰かに引っ張られたり引き返したり,直感的にも「力」が何たるかを理解していたと思います.
     以上のことから単純な話ですが,私はこれまで最も慣れ親しんできた「力」という概念を研究手段として採用しました.研究対象はこれも単純で,やはり幼少から慣れ親しみ「力」という概念を直感的に理解するための糧となった「生物」そのものです.
     生き物たちの力はどのくらいの大きさなのでしょう? どうやって力を出しているのでしょう? 筋肉の細胞達が力を振り絞っているのでしょうか? 大きな力を出した場合,多量の細胞から構成される身体は壊れてしまわないのでしょうか? 押したり引っ張ったり外力を加えるとどうなるのでしょうか?
     こういった疑問に科学的手法を用いて向き合えば,生物,ヒトを理解する上で新しい発見があるかもしれません.また,その発見を応用することで,新しい技術が生まれるかもしれません.そして,知識や技術の更新によって新しい文化が発生するかもしれません.

     上杉研では,生物に関わる「力」を理解し応用するための知識として機械工学が適していると考え,機械工学的知見を中心に研究を進めています.もちろん,研究領域は複合的なため,扱う知識は機械工学だけでなく生物学,電気・電子工学,医学,化学など多義にわたります.
     これら複合的かつ幅広い視野のもと,生物機能を解明し,更には応用することで新しい知識・価値観を提案することが当研究室の目標です.また,体系立った知識を社会に供給することで文化的基盤を豊かにしていくことが使命です.





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